なかよくけんか

漫画と漫画じゃない

弟の夫

思わず二度見、三度見するようなタイトルの漫画を先日読んだ。


弟の結婚相手はカナダ人、そして男だった!?
弥一と夏菜、父娘二人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。マイクは、弥一の双子の弟の結婚相手だった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚って出来るの?」。幼い夏菜は突如現れたカナダ人の"おじさん"に大興奮。弥一と、"弟の夫"マイクの物語が始まる(月刊アクションより)


帯には「文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞」「このマンガがすごい2016・11位」「コミックナタリー大賞2015・9位」などもろもろ記載あり。
まだ2巻までしかでていないのに!きになる!!



作者・田亀源五郎はゲイアートの巨匠らしく、本作が自身初の一般誌掲載マンガとのこと。彼自身が同性愛者で、ゲイをテーマにしたイラストや漫画を発表し、海外で個展を開いたりとアーティストとして精力的に活動しているんだとか。




表紙ひとつとっても、なんとなく「その筋の作者」感がただよっていてビビるのだけど(体つきのがっちり感やら)、
絵としてはスッキリして見やすく、なんとなくアニメっぽいパキッとした明るい色遣い。


あらすじも読んで、きになる!ということでAmazonでポチったのだけど、やっぱりおもしろかった!




主人公・弥一は娘・夏菜と二人暮らし。
両親が遺してくれたアパートの大家をつとめて生計を立てている。
弥一には双子の弟・涼ニがいるが、10年前にカナダへと旅立っていて、ずっと疎遠になっていた。
そして先月、涼ニは外国の地で他界してしまう。

そんなある日、弥一と夏菜の暮らす家に、
涼ニの「夫」を名乗るカナダ人マイクがやってくる。

マイクと一緒に生活をしていく過程で、同性愛の現実と偏見とのギャップが露わになってくる。




という感じ。
ちなみに女性向けのボーイズラブとは全くもって別物。
モーニングで連載している、中年ゲイカップルの衣食住を描いた よしながふみの「きのう何食べた?」に近い印象。




さて、、「弟の夫」、扉絵のひとつひとつが可愛くてスゴくなごむ。


この扉絵の女の子こそ、主人公の娘・夏菜。同性愛という手強そうなテーマだが、夏菜の純粋さに助けられて、するするとよめる。


たとえば弥一がマイクに気を遣い、つねに言葉を選んで会話する一方で、夏菜は気になったことはかたっぱしから質問していく。


「そもそもパパに弟がいたの?」「そのひとは今どこにいるの?」「てか男同士で結婚?」「そんなことできるの?」「なんで日本じゃできなくてよその国ならできるの?」「どっちが旦那さんでどっちが奥さんだったの?」「カナダでは女同士でも結婚できる?」「なんでイレズミがあるとジムに行けないの?」「じゃあイレズミをしてるあの人たちは怖い人なの?」



幼い夏菜のするどい質問に、弥一は言いよどんでいつもあいまいな返事をする。そうすると、夏菜は眉をひそめて言う。「やっぱりよくわかんない!」と。

当たり前だとおもっていた常識を、夏菜に「なんで?」と問われ続けることで、弥一は自身の常識が間違っていたことに気づかされる。

男同士で結婚するなんてことが
俺にとっては寿司のテンプラみたいなもんだ

今はまだ 味も喰い方も判らない

自分にとって同性愛は「寿司の天ぷら」のようなもので、今は全く理解できない。
そんな弥一はマイクとの交流を通して、これまで考えることを避けていた亡き弟・涼ニとすこしづつ向き合っていく。





そしてマイクが、どでかいクマみたいなカナダ人なんだけど、そのマスコット感になごむ。



全体として、あたたかいホームドラマというかんじ。なにか大事件が起きたり、感情の爆発があるということもない。弥一と夏菜とマイクが、ごく当たり前に日常を送っている。イロモノを見る気持ちでこの漫画を読んだら拍子抜けするかもしれない。あまりにもシンプルで、ふつうな日常が描かれているからだ。
第3巻もたのしみ!

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